展覧会情報

幡谷 フミコ 展

会 期:2017/10/02(月) ~ 10/07(土)

休廊日:日曜

時 間:11:30〜19:30(最終日 17:00まで)

Le vent se lève -幡谷フミコのリトグラフをめぐって

新しい「相棒」がそのアトリエを様変わりさせていた。それはアップライト・ピアノを
ふたつ背合わせにした程の空間を占めるプレス機。視力低下等を理由に主たる手段を油彩
からリトグラフへと変えた幡谷フミコの、現在の仕事を支える存在だ。
その空間から生み出されたシリーズ「光咲く」は版を重ねることでふくらみを得た緑色、
ハイライトのような白の群れ、そして鋭質な線から構成される。前回の個展(2016 年 2 月)
での発表作に比べて実験的な要素がぐんと増したのは、制作環境の整備によるところも大
きいのだろう。そしてその画面には新たに大気のざわめきが生まれ、なかには野分さえ連
想させるものもある。
フランスの詩人、ポール・ヴァレリー(1871-1945)はその作品『海辺の墓地』において
”Le vent se lève ! … Il faut tenter de vivre !(風立ちぬ、いざ生きめやも)”と述べたが、
それはこの作家の姿とどこか重なり合う。状況の変化を糧にできる人は何時だって強い。

文・山内舞子(キュレーター)

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